久しぶりに、ペドロ・コスタの「O Sangue(血)」を見る。
本当にひとつひとつのカットが美しくて、一瞬一瞬にため息。
ペドロコスタの作品を見るときは、いつも詩を読むようにみる。暗い影が落ちるSombra。影ばかりなのに光を放つ。それはやはり、生きているもののもつ美しさなのか。
ポルトガルにわたしは2008年から2011年まで行ったり来たりしたのだけれど、なんだか長いもう一つの夢をみていたようにも思う。でもそんなこといったら、生きていることだけで振り回された子ども時代だって、憑き物が落ちたら、夢のよう。過去を語るとき、わたしは嘘つきになった気持ち。でも亡霊はふわふわふわふわ、わたしに影を落とす。
O Sangueはペドロ・コスタの長編初作品。
静かに目をつむる。でもすぐ開く。やっと好きなものは好きだと強く思えるようになってきた。
もう少し。わたしも作品をつくりたいのだ。