東京の続き。
多摩川でミーティング。
小雨がパラリと降ったり止んだり。
まだミーティングまで少し時間があったので、公園をぶらり。
紫陽花があざやかに咲いていた。
ポルトガルでも紫陽花は咲いていたけど、日差しの強さと乾燥地帯で少しカラカラになっているのをよく見かけた。ポルトガル語では、「Hortênsia」というみたい。
多摩川の紫陽花はしっとり、丸みがあって、カランカラン下駄を履いた浴衣の女の人がどこからか現れるのではないかと思われるような情緒があった。
「はなちゃん!!」
後ろの方で声がした。
なぜだか、人間の声ではないような、空気に紛れてシャボン玉の中に声がチャポーンと入っているのが、ふわふわ浮いているような、そんな音の響きの声だった。
モンペみたいなズボンを履いて、勾玉をつけた、私のプロデューサーであった。
若い歌手の女の子も一緒だった。
なんだか、ぼやーっと視界がぼやけていた。
紫陽花の迷宮に迷い込んだみたいだった。
「ちょっと待って」と私。
紫陽花の写真を撮る、パシャリ。
パシャリ、パシャリ。
やっと、視界がはっきりした。
紫陽花はやっぱり美しかった。
そして、雨の匂いに紛れて多摩川を不思議な世界に変えていた。